チョット笑えないマジな話
チョット笑えないマジな話〜留学編T〜 2003/04/27
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南半球では夏を迎える11月。学校の長期休暇を利用して、有名な「グレート・バリ
ア・リーフ」をひとり旅した時のこと。ハネムーン・カップルや家族連れが多いなか、どこ
にでも現れる外国人版のおばちゃん3人組がいた。食事中やガイドの説明を受けてい
る時でも、とにかくやかましい。
彼女らはスコティッシュ(スコットランド人)。ひとり参加の私はいつしか彼女らの行動
に加わって、他の宿泊客に迷惑をかけまくってしまった。「生物写真のスライド上映会」
の場で騒いだり、トイレの前に縫いぐるみ(写真)を座らせて、利用者を「ギョッ」とさせ
たりと。一番迷惑だったのが、深夜のウミガメ産卵見学ツアーに参加した時。亀が恐
れないように「絶対に騒がないこと」と、釘を刺されていたにもかかわらず、我ら4人は
時に大爆笑の大騒ぎ。
今となってはもう彼女らの名前は忘れてしまったが、そのうちのひとり(写真)が昼間
から酒ばかり飲んでいて、いつも酔っぱらっていた。どこに行くにも、どこで彼女と会っ
ても、いつもワインのボトルを片手にしている。ある時、
「不思議でしょ?」
と彼女の方から私に言ってきた。話を聞けば、数年前に彼女は交通事故に遭って、後
頭部を強打し、以後味覚を失ったと言うことだった。
「味覚が無いのなら、お酒の味もわからないのでは?」
と、私が尋ねると、彼女は
「確かに酒の味も解らないけど、飲めば酔えて楽しいから」
と答えた。
味覚を失って、食事の楽しみをも失ってしまった彼女。そんな毎日のストレスを酒で
紛らしている。そう思えてならない、南国の島で出逢った酔っぱらい女とのひとときだっ
た。
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