チョット笑えないマジな話
 

チョット笑えないマジな話〜留学編U〜 2003/07/27
 さすがその分野では優れた技術を誇る「ゴキブリ・ホイホイ」もしくは「ゴキブリ館」。留 学中に悩まされたゴキブリ退治に舶来品のこの手の捕獲器は全く役に立たなかった。向 こうでは当然日本製は輸入品で、関税も高かったが、一晩で20匹は捕れた。
 ある日の朝、部屋の隅に仕掛けたはずの「ゴキブリ・ホイホイ」が部屋中央部に移動し ていた。まさか足がはえて動くわけはないしと、首を捻って原因を考えていたら、本当に 中から片足が外に伸びているのが見えた。
 このオカルト的な話の真相は以下である。オーストラリアには昆虫を主食とするは虫類 のヤモリが広く分布する。このヤモリはゴキブリを好物にしているので、各家庭では大変 有り難い彼らの存在。ペットして容器で飼育する子供達も実に多かった。このヤモリが我 が部屋に現れ、生きているのに動けない大量のゴキブリが存在するゴキブリ・ホイホイ を、まるで「お菓子の家」を訪れるかのように踏み入ってしまったのである。
 実に可哀想な気もしたが、ヤモリの顔から半身がピッタリと固く接着していたので、どう することもなくそのままゴミ箱に投げ捨てた。
 その日の夜は我が家でパーティーが開かれた。大勢の知人・友人が訪れ、私はこの話 題を提供しようと、ゴミ箱からその「ゴキブリ・ホイホイ」を持ち出してみんなに披露した。
 「この状況は実に残酷・悲惨極まりない」と言うことで、私はみんなから責められてしま った。動物愛護にかけては大先進国のオーストラリア(日本は鯨を食べるという罪で大後 進国)では犬を鎖に繋ぐことすら罪になる。パーティーは一時中断、大勢でヤモリの休出 作戦が開始された。まず足の部分を剥がそうと引っ張ったら取れてしまった。次に顔の 部分。ここも皮膚がペロリと剥けてしまった。結局そのままゴミ箱へ。皆平常に戻ってパ ーティーを続けたが、おぞましいモノを見てしまった私は少なくとも平常心にはなれなかっ た。




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